2018年1月7日

Netflixレビュー 010 DEVILMAN crybaby


DEVILMAN crybaby 

2018 日本 Netflixオリジナルアニメ 全10エピソード

ネットフリックオリジナルのアニメとして2018年の1/5より公開された最新のアニメ作品。著名タイトルである「デビルマン」の現代リメイクで原作から大きな変更点も目立つが、主軸となるストーリーは恐ろしい事に「概ね原作通り」の作品となっており、その残酷表現の多くは現在の日本における自主規制の嵐の中では「TVでは深夜でも放送できない」作品でもあり、内容的にも「子供には見せられない」物でNetflix側での対象年齢区分が「大人向け」いわゆる「R-18」相当に区分されている。




デビルマン自体は1972年の作品でTVアニメ化しているが、こちらは原作とは大きく内容が異なる物で、言い換えれば「ただのダークヒーロー物」となっており、毎週現れる刺客と戦うバトルアニメでもあり、内容は単純明快で「子供向け」にアレンジされていると言っても過言ではないだろう。主題歌で連呼する「必殺技」の多くはアニメ版専用であり、原作では絶叫気味味に必殺技名を叫んだりはしない。

最初から原作通りにやる気など無かったようで、最大のキーマンでもある「飛鳥了」が未登場である。また人間と悪魔が合体し、なおかつ人の心を維持できて初めて「デビルマン」たりうる訳だがTVアニメ版では、開幕から悪魔名が既にデビルマンである。

元々「原作」があって、それが「アニメ化」したというよりは、アイデアを共有した別作品が同時に展開していたと言えるスタイルで、今で言う「メディアミックス」が当時行われていたという背景もあり、アニメ版のオリジナルキャラを気に入った原作者「永井豪」が漫画にそのキャラを逆輸入するという展開も見られた。

あくまでスポンサーありきの契約連載でもあった為、アニメの終了を機に連載の終了も告げられる形となるが、なんとか頼み込んで数回分の「延長」を勝ち取ったり、完結後も単行本用に度々修正や加筆が行われた。完全なオリジナル版は単行本数で言えば3冊であるが、現在読む事のできる「完全版」では全5冊となっている。余談ではあるが、永井豪がデビルマンの執筆を行う様子を漫画化した作品「激マン!デビルマンの章」は全6冊と「制作秘話」の方が本編より長いという奇妙な現象も見られる作品だ。

後に原作に忠実なOVA版の作成も行われたが、全三作の予定が二作でプロジェクトが終了し、結局「未完」のままとなっていた。(一作目87年 二作目90年)



一応の完結編、続きとして2005年に映像化された「AMON デビルマン 黙示録」で先のOVAの顛末を補完しているが、厳密には先の二作品の続きではない。ありえたかもしれないもう一つの結末として「if」的な展開を見せた同名の漫画作品のアニメ化であり、原作とは異なる展開を見せるも、結局のところ完結しておらず、俗に言う「俺達の戦いはこれからだEND」となっており、原作デビルマンを開幕からラストまでを忠実に1作品内で描いた作品としてはNetflix版デビルマンが「初」となる。



メインプロットこそ原作に忠実であるが、「現代版リメイク」となる本作では原作との大きな相違点の一つとして「時代設定」が挙げられる。原作は上でも述べたように72年の作品で、昭和40年頃のお話であるが、今作は「現代」を舞台にしており、主人公はコンビニで買い物もするし、スマホやPCでネットも利用する。噂はSNSや動画共有サイトを介して瞬く間に拡散するという現代の時代背景を色濃く反映した物となっている。

また作中作として「デビルマン」と言う漫画、アニメが過去に存在しているという描写も見られる。2005年度の「黙示録」においても「現代版」的な描写の一部としてコンビニのある風景などが見られる。


(※同一人物)

メインヒロインである「牧村美樹」が割とフルモデルチェンジ。初期作、OVAと比較しても大きく変更された部分であり、人格から口調まで完全に新キャラクターと言っても過言ではないレベルで別人と化している。陸上部に所属し女子のエースとして魔女の異名を持つランナーとし活躍する。

また父親が牧村ノエルという「外人」に変更され、日米ハーフと言う設定が加えられている。原作基準では父は耕三(こうぞう)、母の名前は亜樹子(あきこ)となっている。加えて弟の名前も「健作」から「太郎」に変更されているのだが、この変更は割と早期の段階から行われており、「小説版」が元となっている。OVA版では原作で使用されていた愛称である「タレちゃん」と呼ばれていたが、本作では使用されていない。

また原作では運動部への所属に否定的であったデビル化前の不動明も美樹と同様に陸上部に所属し、陸上部1の鈍足と評されている点も大きな変更点だ。

余談だがOVA版のヒロインの声優は「榎本温子」が演じている。本作では「藩めぐみ」が担当する事となった。



原作に登場した各種「不良グープ」がまとめてカット。さすがにケンカでドスを振り回したりチェーンやメリケンサックに学ラン姿の「昭和の不良」は現代に出番は無く、現代版の同ポジションにはラッパーグループが登場、様々なシーンで「現状説明」的なラップを披露する。CV、ラップ等には実際の音楽シーンで活躍する現役ラッパーを起用している。原作の「不良」が担っていた役割の大半はラッパーが担当している。



大きな配置変更としてミーコが美樹の親友として同じ陸上部に配置され、序盤から終盤まで物語に絡んでくる。原作では中盤に登場し女子の不良グループで万引きを強要される役柄で美樹との直接的な接触も無かった。

「黙示録」では大きな役割を担っていたキャラでもあり、若干のネタバレにもなるが、その「能力」にも変更が加えられ、元来のミーコが有していた能力はストーリー終盤に登場するモブに引き継がれている。



最大のキーマンでもある「飛鳥了」にも若干の仕様変更が見られる。原作では「父親」の研究を引き継いだ結果としてデーモンと関わる事になるが、本作では若くして大学教授となり、別の教授の研究を引き継ぐ形となっている。これは了自体の「出生」に関する設定が少々変更された事によって整合性を取る為の変更であると思われる。

他の変更点として原作で「新幹線」が舞台であったシーンが「飛行機と空港」に置き換わり、他の「デビルマン」に奮起を促すシーンでは「僧侶のテレパシー」から「ツイッターっぽいSNS」に変更されている。



総評

非常に良く出来ている「デビルマン」であると言えるだろう。Netflix制作と聞くと海外版というイメージも先行するが、しっかりとした国産アニメである。色使いや描写が「ピンポン」を思い出させるが、それも当然、監督は「ピンポン」「夜は短し歩けよ乙女」などで知られる湯浅政明が担当している。ポップでいてカジュアルな絵柄でありながら、悪魔というモチーフを題材とした作品は、ある意味では「ペルソナ」的な雰囲気をもって若い層にも受け入れやすい作品でもあるが、上で述べたように「原作に忠実」である点からも、かなり衝撃的な内容を多く含む作品に仕上がっている。で、あるからこそ原作を知らない人にこそ是非見て欲しい、が、相応にエログロで鬱展開である事は覚悟した上で見て欲しい。逆に熱烈な原作ファンにとっては納得の行かない部分も散見するかもしれない。


6 件のコメント:

  1. アーティスト起用ありきの同人作品だったな・・・というのが個人的な感想ですね
    ネオデビルマンでifや独自解釈等のストーリーが描かれてましたが
    これはそこまで洗練されてなく全体的になんだこりゃという・・・

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    1. 確かに、キャラの掘り下げはもっと丁寧にして欲しい感も残ったし、少々駆け足気味で未消化な部分も多い。とは言え、若い世代向けの「デビルマン入門編」としては個人的にはアリだと思う。ここで興味を持って原作や、その派生作品などに進んでいけばいいとは思う。(実写版は除く)

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  2. ここの話題とは関係ないんですがアムチのクエスト開始時の主なドロップ品リストに
    ネメシスとスレイヴが・・・両方狙えるんなら最初からアムチブーストだけやってろよw
    はーほんまつっかえ

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    1. 違いねぇ・・・どうせ出やしないんだから14も全部入れてますって事にして全日アムチでよかったんじゃないかな。もしくは3:3で分けてリニューアルしてないアムチはスルーすべきだったな。

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  3. なんだぁ、各方面から絶賛の嵐だった実写のじゃないんすねー
    ・・・すいません。

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    1. 「体調が悪くなるほど面白くない」と評判の実写版ではありません・・・はい。Netflixで視聴できますが、耐えられなくて完走できませんでした。

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